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▼ 経済問題で荒れる日米関係

●アメリカの圧力

 日米両国にとって日米関係は常に重要な関心事である。しかし現在、両国は互いに政策論争を続けており、日米関係の雲行きは怪しくなっている。過去数週間、アメリカ政府は日本に金融・経済政策を変更するよう大きな圧力をかけている。ロバート・ルービンをはじめとするアメリカの官僚は、世界の金融崩壊を防ぐために日本が「さらなる貢献」を行うよう圧力をかけている。

 日本人にとっては、こうした圧力は日本の問題への理解のなさを示すだけでなく、ニューヨーク株式市場のバブルからアメリカ人の関心を逸らすトリックに見える。与党・自民党の有力政治家は、公的な場で、「アメリカの株式市場はインフレに向かっている」と述べた。例えば、自民党幹事長・加藤紘一は最近、橋本政権の経済再建策を述べるためにワシントンを訪問した。彼は東京に戻った後、アメリカの株式市場は危機的状況にあり、日本は円をブロックし、防衛しなければならないかもしれないと発言した。

 日本人は自分たちがクリントン政権のスケープゴートになっていると感じている。なぜなら、アメリカの「バブル経済」は、はじける寸前だからである。

 そして、この二つの同盟国の緊張関係は金融・経済政策だけにとどまらない。アメリカの大統領はこれまで、中国訪問の際には儀礼的に日本にも立ち寄っていた。しかし、98年5月初旬クリントン大統領は、6月の中国訪問の際には日本に立ち寄らないことを発表した。これは政治的影響を及ぼしており、多くの人々に推測のタネを与えている。 「これは新政策による決定なのか、それとも新たなプレッシャーなのか?」

●CFRはいわく「日本とは手を切れ!」

 クリントン政権の行動の裏に何があるのかを考える前に、アメリカの政策立案サークルでの議論を検討しておく必要がある。アメリカ政府内のある勢力は、アメリカの日本政策をこれまでとは違った方向に持っていこうとしている。それは、ニューヨークの外交問題評議会(CFR)が出している『フォーリン・アフェアーズ』98年5〜6月号の記事を見れば分かる。

 ブルッキングス研究所の上席研究員(外交政策研究)であるエドワード・リンカーンは、「日本の金融混乱」という記事の中で、「アメリカ政府はこれまでの日本との同盟関係を根本的に見直すべきだ」と主張している。

 日本が金融危機に対処できていないことを痛烈に批判した後、リンカーンは、日本だけでなくアメリカ政府をも批判の対象にしている。そして、「アメリカ政府は日本に、より圧力をかけるべきだ」と主張している。彼は言う。 「アメリカ政府は、日本に圧力をかけても手応えがないことが分かった。それゆえ、アメリカはより広範囲に、日本に明確なメッセージを送る時期である。

 両国関係は広範囲の意見交換に基づいているが、アメリカの官僚はこれをストップさせることができる。会合をキャンセルし、電話がかかってきても返答せず、アメリカの政策についても事前に知らせない。こうしてアメリカは、『日本をグローバル・パートナーと見なしていない』というメッセージを送ることができる。

 世界第二の経済力を持つ国に対し、これはあまりの処遇に見えるかもしれない。しかし、現在の状況では、私たち全員を破滅へと導く道を突き進む日本を救い出すには、これしかないのである。」

 もちろんこの記事は、クリントン政権の公的政策を反映したものではない。しかし、これはアメリカ政府内のある勢力に共感を持って迎えられている。日本の情報筋によれば、ワシントンの日本大使館は、この記事への立腹を示す外交文書を送った。日本の官僚の立腹はすさまじく、アメリカ国務省の官僚が日本大使館に派遣され、この記事は「アメリカの政策ではない」ことを強調しなければならないほどだった。

 しかし、ほとんどの日本の官僚は、CFRが政策を示した場合、アメリカ政府はやがてそれに従うと考えている。実際には、クリントン政権の政策立案は、そう単純ではないのだが。

●通貨ブロック問題

 イギリスによるアジア・アメリカへの攻撃を正しく理解するためには、戦略的観点に立たねばならない。欧州中央銀行(ECB)と単一通貨の創設、これは世界におけるアメリカの地位、そして基軸通貨ドルに挑戦するものである。イギリス、そしてフランスをはじめとする同盟国は、最終的にはユーロを「ドルに代わる基軸通貨」にしようと考えている。

 イギリス支配を受けた投機家ジョージ・ソロスのクォンタム・ファンド、そして他の通貨投機家は97年夏、ドルに固定されたアジア通貨を攻撃した。その第一の理由は、アジア通貨を下落させることではなかった。そうではなく、全太平洋地域におけるアメリカの戦略に揺さぶりをかけ、アジアにおけるアメリカの主要貿易パートナー、中国と日本に打撃を与えるためであった。

 このように書けば、疑い深い人は「また陰謀論か」と考えるかもしれない。しかし、国際決済銀行(BIS)の報告によれば、投機ファンドの圧倒的大部分はイギリス、そしてヨーロッパの銀行系列であることが分かっている。これらの「ホット・マネー」は、活況を呈していたアジア経済を崩壊させた。それだけでなく、IMFが投機バブルを救うという名目で突きつけた苛酷な条件が発表されるに及び、アジア通貨はさらに下落したのである。

 世界の金融システムが崩壊へ向かっているスピードを考えれば、基軸通貨としてドルの代わりにユーロを据えるイギリスのシナリオは、最終的には歴史の塵となるだろう。しかし、もし日米の政策立案者がこの計画について知らないとするなら、それは愚かな結果を招くことだろう。

 ルービン財務長官は、「ユーロはドルにとって脅威ではない」と発言している。しかし、もしドルからユーロへの大きな資本移動が起きれば、それは崩壊の引き金となるだろう。

 こうした状況では、イギリス寄りのヨーロッパ金融機関、そして日本の金融機関が、ドルに代わってユーロを支援するため、円ブロックに出る可能性がある。歴史的に言えば、日本の銀行が「帝国主義的動機」を持つ時には、日本人の長年の構想「大東亜共栄圏」が復活する傾向がある。

●クリントンのジレンマ

 ユーロの脅威、そして日本によるドル・ダンピングの可能性については、ひとまず置くとしよう。それでも、システム危機の可能性はクリントン大統領に重くのしかかる。アメリカ経済は実質は拡大していないが、バブルは膨らみ続けている。

 クリントン大統領は今後もこの政策を取り続けるのかもしれない。しかし、彼は98年5月3日のウォールストリート・ジャーナル紙で、「アジアの金融危機がアメリカ経済にとって最大の脅威である」と認めている。

 そして最新の統計からは、アジア諸国の実質生産能力が落ち続けていることが分かる。それに対するクリントン政権の対応は、日本にアジア諸国の輸出品を大量に買わせようとする政策だった。ウォールストリート・ジャーナル紙の中で、クリントン大統領はこの政策について触れ、「減税などによる1250億ドルの資金が、素早くダイナミックに活用されれば、プラスに働くと思う」と述べている。

 しかし、日本の榊原英資財務官は、「もし10月までに日本経済が回復しなければ、円は1ドル150円にまで下がるだろう」と述べている。つまり、日本に「さらなる責任」を果たしてもらおうというアメリカのプレッシャーが機能しないということである。

 クリントン政権の官僚は、私的な場で、日本人に次のように語った。 「金融部門全体の再編、そして1兆5000億ドルに上る巨大な不良債権の処理、これらがないと現在の状況を打開できませんよ。」

 しかし、日本人は知っている。新しい金融体制に基づく提案がクリントン政権側から来ない限り、小手先の政策をいくら積み上げても何にもならないことを。

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