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▼ トフラーの21世紀戦略の狂気

●トフラー夫妻の戦争概念

 1982年、ソ連との戦略防衛構想(SDI)の交渉が行われている間に、アメリカ軍上層部のユートピア唱道者グループは、脱工業化“ニュー・エイジ”を唱道している人物の中でも、最も気のふれた2人である、アルビン・トフラーとハイジ・トフラーを、ペンタゴン内部の聖所に招き入れた。

 トフラー夫妻が、アメリカ陸軍トレーニング・アンド・ドクトリン・コマンド(TRADOC)の上級士官と一緒に仕事をした影響で、アメリカは、“ニーチェ哲学式戦争”と呼ぶのが最もふさわしい軍事戦略を採用するようになってきている。
 つまり、今までに採用されていたモラル・戦略・任務の原則をすべてやめて、インフラストラクチャーをことごとく破壊するという、非常識なハイテク“焦土戦術”を使うようになってきたということである。その結果、民間人の負傷者の比率は、80%近くに上っている。

 トフラー夫妻の戦争概念は、軍事概念として今までに提出されたものの中で、「国がスポンサーとなって行う大量殺戮的な“ブラインド・テロリズム”の最も進んだ形態」と呼ぶのがベストである。

 トフラー夫妻は、1993年に『戦争と反戦――21世紀の夜明けのサバイバル』という本を出版した。
 夫妻は、その本の中で、1991年にイギリス首相マーガレット・サッチャーとブッシュ大統領が主導した湾岸戦争に言及し、湾岸戦争を“現代史の中で最も偉大な軍事的勝利”と呼んでいる。
 そして、「湾岸戦争は、“第三の波”の社会と“第二の波”の社会の間で起こった最初の戦いだ」と、我田引水的に述べている(第三の波の社会とは、脱工業化社会、“情報”社会を意味しており、第二の波の社会とは、工業社会のことを指している)。
 そして、その本の中では、“脱工業化諸国”(アメリカ、西ヨーロッパ、日本)と、“工業諸国&第三世界の産業化以前の国”の戦争という概念が、19世紀と20世紀の“恵み深い”帝国植民地戦争に好んでたとえられている。この戦争は、イギリスと他のヨーロッパの宗主国が、アフリカと他の発展途上世界の人々に対して行ったものである。

 “エア・ウォー(航空戦)”などのユートピア主義戦争概念を唱道していた人たちは、「78日間続いたセルビア・コソボ空爆は、“エア・パワーの時代”がついに到来した証拠だ」と言って、今回の空爆を擁護している。
 この“第三の波エア・パワー”の狂信者たちの主張によれば、「流血がなく、死傷者の少ない戦争を可能にするために、“情報集約的”な設備品を十分に集めるのは、時間の問題だ」ということである。もちろん、これは勝者の側の話である。


●新たな3本柱

 これは、トフラー夫妻が、『戦争と反戦』の中で自ら述べている話だが、1982年にトフラー夫妻に対して、ドン・モレリ将軍のアプローチがあったということである。モレリ将軍は、ダン・A・スターリーと一緒に、アメリカ軍事概念の整備を行っていた人物である。
 彼らは、その仕事を進める際に、1980年に出版された『第三の波』を相当に参考にしていた。『第三の波』では、「工業文明はもはや時代遅れであり、“情報”が大規模生産にに取って代わるかもしれない」という概念が述べられている。
 トフラー夫妻は、モレリ、スターリーなどのから、詳しい状況説明を何度も聞き、ついに10年後、彼らは“オペレーションズ・リサーチ”“未来戦争”“空陸作戦2000”の世界を、大胆な著作として書き表したのである。

 トフラー夫妻はその本の中で、新しい戦略の“3本柱”という概念を使っている。その概念は、核兵器による絶滅寸前の世界戦争に関して使われている。
 夫妻は、農業社会、工業社会、脱工業化社会の間で、3通りの“文明の衝突”が起こると予測している。その本には、次のように述べられている。
「“第三の波”の戦争は、“適切な”特殊連合部隊を展開配備し、“情報によって動く”圧倒的な空軍力を行使し、“情報戦”を行うことによって勝利する。」
 情報戦では、最新式の電子工学システム、コンピューター・ウィルス、非殺傷兵器などの驚異的兵器を使って、敵の指揮・統制・通信・通信・コンピューター・情報収集(いわゆるC^4I)を妨害するということである。

 “まぬけ”のおもちゃと戦術が入ったこの“宝探し袋”の大部分は、1980年代にペンタゴンが出した『空陸作戦2000』の中に文章化されている。
 ニュート・ギングリッチとゴアは、議会未来情報センターと議会軍事改革幹部会の重要人物だが、トフラー夫妻の詐術は、ニュート・ギングリッチとアル・ゴアの鈍い頭が独力で作ったものよりも、政府内に深く浸透している。信じられない人は、ウィリアム・コーエン国防長官が最近行った発言について考えてみてほしい。

 4月28日、ジョージア大学で、テロ・大量破壊兵器・アメリカの戦略に関する会議が開かれた時に、コーエンは次のように発言した。
「私はつい先日、トフラー夫妻の『戦争と反戦』を読んだが、この本は戦略家にとっては必読の書だ。」
 コーエンは、そのディスカッションの時間中に、トフラー夫妻の考え方についてさらに3回も取り上げていた。

 トフラー夫妻自体は、もちろん、ポップ・カルトの某三文文士たちに比べれば、少しはましである。その三文文士たちは、タヴィストック研究所とフランクフルト学派、そしてその派生団体やフロント団体のもっと深刻な怪物が生み出した“パラダイム・シフト”を採用し、それを何とか読める文章にし、ちょうどいいバイトのサイズにして、“ニューエイジ”の熱烈な信者たちに提供している。
 しかし、もっと遥かに深刻な問題は、アメリカ軍の中に、そういう“ニューエイジ”の政策屋があふれていることである。
 彼らは、防衛予算として、巨額の金を意のままに使うことができる。そして彼らが、実際に生きている人たちをターゲットにして、“ニーチェ哲学”戦争ゲームを行う機会がますます増えているのである。
 最も最近の例は、バルカン半島とイラクでの戦争だが、もうじきあなたの近くでも起こることは間違いないだろう。

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