【1】1999.1.28 世界経済フォーラム創設者兼理事長クラウス・シュワブの開会の辞
http://live99.weforum.org/opening_ksc.asp
適正なバランスを取る
なぜこの年次総会が特に重要なのだろうか。ここで我々は、政財界、学界、その他民間のリーダーたちが、世界の状況をより良いものにするために、他では作れないような連帯を作り出すからである。
では、どうしたら世界経済フォーラムのこの大変な使命を実現できるのだろうか。それは、21世紀への移行期における最も重要な課題に取り組むことによって、実現できるのである。人々は、ほとんど全世界の市場で、不測の事態が起こるのを恐れている。不測の事態が起こったら、コントロールのしようがない。そしてそれは、自分と家族の生活を悲惨なものに変えてしまう。そのような事態を恐れる人々の要望と、市場の力との適切なバランスを取ることが必要である。
創設以来の世界経済フォーラムのモットーは、「世界の公共の利益に根ざした企業家精神」である。今日から6日間、我々は、企業家精神を育て、自由市場を富と幸福を生むためのエンジンとするために、数多くの方法を追求する。しかし、特に我々が関心を集中させるのは、巨大な競争が行われているこの世界における社会的結合力である。
競争力と社会的結合力とは、相反するものではない。両者は、企業の方針と政府の政策の結果である。
だから、我々はしっかりと責任を持とうではないか。我々は、我々のエネルギーと様々な資源を投入して、我々の生活に役立つようなグローバル経済を創造しているのだということを世界に示すまたとないチャンスを、ここダボスにおいて有しているのである。
我々はグローバリゼーションを必要としている。グローバリゼーションは、世界的規模で、資本、商品、サービス、アイディア、技術を共有する機会を作るからである。また、今世紀の終わりに当たって、世界に配慮を行き届かせることが可能になるからである。今、世界の人口は、今世紀が始まった時の4倍になっているのである。このことを考えてみてください!
しかし、我々が必要としているグローバリゼーションとは、人間の顔をしたものであり、あるいは、今年の年次総会のテーマのような、「責任あるグローバル化」というものである。
なぜグローバル化なのだろうか。過去数ヶ月の巨大合併、東アジア、ロシア、ブラジルで起こったことの波及、そして国境がしばしば不適切なものになっているという事実は、一つのことを示している。それは、グローバリゼーションは、もはや進行しているのではなくて、すでに一つの状況となっているということである。我々は、このような新しい現実の中に生きているのである。
この年次総会の多くのセッションで、責任あるグローバル化を定義する試みがなされるであろう。国境が消滅している世界の中で、我々は、どうやって新しいグローバルな国境を作ればよいのだろうか。逆戻りのきかない革命の有害な突発を避けるためには、手続き、法律、団体に関するメカニズムが必要である。19世紀の終わりに起こった産業革命のように、革命は、よりよい生活を実現するための重要な鍵である。革命によって、無数の人々を貧困から救い、適切な医療や教育を提供することができる。
我々のプログラムは、アジア、東ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカのすべての国々に対し、明快な励ましの仕方をすることも目標に置いている。これらの国々が、新しい世界経済の敗者でいることを我々は望まない。我々は、これらの国の代表者が十分にここダボスに招かれるように特別な努力をした。あなた方すべてを心から歓迎します!
我々は、この会議を利用して、付加価値を創造し、世界に対して意義のある社会的な価値を提供したいと思っている。この点において、いわゆる“ダボス・スピリット”は、過去においてそうだったように、意見を一致させるプロセスとして役に立つと思われる。特に、来週の頭に60名の若いリーダーたちを迎えることができることはうれしいことである。中東、南アフリカ、北アイルランド、ボスニアから各15名が集まり、新しい基準を作り、経験を交換する「平和への移行」のプロセスを始めることになる。
結論を述べるに、「責任あるグローバル化」の必要性に応じて、新しい枠組みや手続きを整えたとしても、何らかの根本的な道徳的な価値が共有されない限りは、平和な21世紀を実現させるには不十分だということである。我々は、新しいグローバル時代の倫理を必要とするようになるであろう。その倫理は、主として気配りの責任感によって成立するものである。我々の地球村の隣人への気配り、そして我々の生態系の完全さへの気配りである。グローバル化した世界に最も重要とされる価値は、宗教、イデオロギー、倫理、歴史の違いへの寛容さである。21世紀は、今世紀とは違って、危険で、機会に満ちたものになるだろう。それを考えると、我々は、我々のルーツを尊敬し、同時に、各人に隠されている最高のものを発見し、それを結び合わせるべきである。これを行うことによって、我々のグローバルな共同体が形成され、我々の年次総会が、我々と我々を見守る人たちにとって、明確で、生産的で、価値あるものになるのである。
【2】1999.1.28 スイスの大統領、グローバル化した世界における民主主義を強化するために、事業家とのパートナーシップを強調
http://live99.weforum.org/am9907_990128.asp
スイス連邦大統領ルート・ドライフスは、ダボスで開催される世界経済フォーラム1999年年次総会のオープニングで、「これまで続いてきたグローバリゼーションが、世界のあらゆる地域を利するような形で、発展の維持と民主主義を保証するのであれば、世界の事業家と政府は、パートナーシップを再定義する必要がある」と語った。
スイス初の女性元首であるドライフス大統領は、「今、国家は、グローバリゼーションの中で失う危険があるものに対応する必要があるために、枠組みを制限されすぎている」と述べた。「我々は、パートナーシップを再定義する必要がある。それは強い国家と、自信の持てる財界の前提となるものである。我々の仕事は、お互いに補完し合うことで成り立っているが、それを尊重するためには再定義が必要である」。
ドライフスは、“人間の多様性という貴重な資産”と呼ぶものを、促進ではないにしても、守る必要があることを強調した。「順調な経済を実現するための活力は、生産者でも消費者でもある一般市民の上にかかっている。よって、企業や国家は、経済・社会・環境のどの分野であろうとも、相互に関心を持ちながら、発展が続くように協力するべきである。このパートナーシップは、“市場において、偶然に起こることは何もないようにしなければならない”ということを認識すべきである」。
ドライフスは、さらに、「民主主義は、世界のどのパートにおいても、強調されなければならない」と述べた。そして、「民主主義が未発達なところでは、もっと民主主義を育てる必要があり、そして、発言が否定され、民主主義が単なる念願となっているところでは、もっと促進する必要がある」と述べた。「この点において、経済の役割は重要である。経済は、民主的な体制が取られている地域では、最も創造的なものだからである」。
「また、繁栄は個人と社会の発展を促し、それによって、民主主義そのものも発展する。我々はこのことを知っている。そして、民主主義と経済の順調さは密接な相互関係にあり、この関係は、疑いなく、苦痛を伴いながら少しずつ築かれてきたものである」。
ドライフスは、「民主主義が弱いままか、存在しない国では、人間の尊厳は攻撃にさらされる。通常は、民主主義による解決策を求めるのは国家の役割だが、事業家も関心を持つべきである。政治は企業の役割ではないと思われるが、民間部門は、国際社会の定める規則に従うように努力しなければなければならない。そのためには、児童労働や汚職をなくし、労働者が年収基準の貧困ライン以上の生活ができるように、賃金を保証する必要がある」と述べた。
さらに大統領は、「民主主義を発達させることは、長期的な繁栄をもたらす最良の方法である。また、世界の貿易を規制する規則を定めている国際機関の正当性を高めるのも重要である」と述べた。
結論として、大統領は次のように述べた。「今、世界では、相互依存がすでに重要なファクターとなっている。よって、関係者全員に発言の機会が与えられ、人間の豊富な多様さが、物質的な繁栄につながるようにしなくてはならない。そのためには、民主主義を活用し、意志決定プロセスを透明にし、個人を尊重することが必要不可欠である」。
【3】1999.1.29 ゴア、ダボスで農業問題と債務免除に関する二つの構想を演説
日本とヨーロッパの蔵相、成長の見込みについて討論
http://live99.weforum.org/am9908_990129.asp
本日、世界経済フォーラムの第29回年次総会で、アメリカ副大統領アル・ゴアは、ワシントンの新しい構想を発表した。それは、「農作物の法外な40%の関税を、幅広く大幅に引き下げる」というものである。そして、来週の月曜日に提出される予定の新しい予算案に、「貧困で借り入れの多い国に対する債務免除を行うため、アメリカは新たにかなりの額の資金を提供する」という提案を盛り込むことを約束した。
さらにゴアは、「昨年の危機が起こって以来、アジア諸国の状況が一変してしまったので、投資家が再びアジアに投資をしようという意欲を失っている」と述べ、遺憾の意を表明した。そして、「1993年、世界各国はアメリカに対し、混乱した世界の経済を回復させてくれるように要請をした。今世界は、世界第二の経済大国である日本の責任について、1993年のアメリカと同様に考えている」と述べた。
ゴアは、大統領選に出馬するかどうかについてコメントをすることは丁寧に断った。「ここダボスで表明したいのはやまやまだが……」とゴアは言った。政界、財界、学界のリーダーたち聴衆は爆笑し、会場は拍手喝采となった。ゴアは、「この拒絶は大物になるだろうと思っている」とジョークを言った。
ゴアは演説の中で、「アメリカは経済が好調な今の機会を利用し、長期的で手ごわい経済問題に取り組むべきだと確信している」と言った。「それは、高齢化社会に備えるということである。つまり、社会保障とメディケアを充実させることであり、そのための手段や、それをやろうとする意志があるうちに実行することである」。
そして、「農作物の関税は、実に平均40%にもなっている」と述べ、「助成金によって、平均的なヨーロッパの家族に年間約1500USドルがかかっている」と言った。「サービス、工業製品、農作物に関する世界貿易交渉の新しいラウンドで、我々は、農作物の輸出助成金の撤廃を呼びかける予定である。このような助成金は、他のどの部門にも見られない」。さらにゴアは、「我々は、世界の貿易に対して以前よりも門戸を開いている。よって、我々は、労働者を守り、健康と安全を守り、子供たちやクリーンな環境を守ることができるような強力な対策のある貿易システムを作りたいものである」と述べた。
ゴアは、貧困がひどく、多大な債務を抱えた国の債務免除をするという“決断力ある進歩”を呼びかけた。「クリントン大統領は、議会に対し、月曜日に新しい予算案を提出しようとしている。その中には、アメリカが、貧困で借り入れの多い国の債務免除を行うために、かなりの額の資金を提供する提案が盛り込まれている。私は、ここでこのような発表ができてうれしく思う」。
ゴアは、年次総会の参加者に対し、「世界は、将来において危機が起こるのを防止し、抑制するための適切な財政構築を進める必要があり、そのためには、民間部門がもっと大きな役割を果たす必要がある」と呼びかけた。「今日の財政危機における最も深刻な点の一つは、投資家が損失を被ったことのある国に対しては、投資家が投資をしたがらないということである。しかし、そのような国の中でも、タイや韓国などは、預金の引き揚げが起こる原因となったその問題に取り組むべく、すでに対策を取り始めている。これは大きな進歩である」。
そしてゴアは、「日本は、経済における十分な需要を確保するという重要な問題に直面しており、さらに規制解除や市場開放などの構造上中心的な課題に直面している」と述べた。「しかし、日本はこのような不景気の中でも、アジア全体のGDPの3分の2以上を占めている」と述べ、「今、世界は日本に対し、世界で2番目の経済大国としての責任を果たすのにふさわしい変化を遂げることを期待している」と宣言した。
ゴアは財界の指導者たちに向かって、「アメリカは、今後のアメリカの成長が、世界の他の国の成長に依存していることを十分理解している」と述べた。そしてアメリカが、バルカン半島における兵器の拡散と、武力衝突が再び勃発することについて関心を持っていることについて表明し、次のように述べた。「今頃、ロンドンでは、こうして私が皆さんの前に立っている間も、アメリカと“コンタクトグループ”のパートナー(フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、ロシア)が、紛争解決のプランについてディスカッションを進めている。彼らは、当事者に呼びかけて来週の前半に会議を開き、合意に至らせることについて話し合っているのである」。
先週の金曜日、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本の政府の財務関係者は、国際間で負担を分担することを提唱した。しかし、世界の経済を発展させるためのエネルギーを確保するためには、成長のバランスを取ることも同様に重要であると強調した。
ドイツの大蔵次官ハイナー・フラスベックは、「アジアとブラジルの危機の第二次、第三次の波及効果に対処することも重要ではあるが、国内需要を喚起することが緊急の課題である」と述べた。そして、「アメリカの成長率が3%なのに対し、ヨーロッパは1.7%であり、このギャップが、現在の貿易収支がアンバランスとなっている主な理由だ」と述べた。そして、「このギャップを埋めるためには、ヨーロッパの成長率を上げる必要があるが、簡単な解決策はない」と付け加えた。さらに、「1995年から96年の成長率は著しく低迷したが、マクロ経済的側面には何の影響も見られず、結果は、ドイツの失業者が大量に出たことだった」と述べた。
イギリスの蔵相ゴードン・ブラウンは、「成長が維持できて、健全な就業率を保てるのであれば、経済改革は優先されるべきである」と主張した。そして、「ヨーロッパにおける優先事項は、農業と、仕事に適応できる労働力を育てること、競争を刺激することだ」と述べた。そして、「世界レベルにおいては、アジアで起こったような危機を防ぐために、警告システムや、危機回避のための計画を練らなければならない」と強調した。さらに、「我々は、過去の過ちに学ばねばならない」と述べ、「この機会を逃さず、対策として、最小限の基準を定めた経営規約を作らなければならない」と述べた。
アメリカ財務副長官ローレンス・サマーズは、「先進工業諸国の成長のバランスも大切だが、発展途上国に対する資本の流れを回復させることも大切である」と述べた。そして、「アメリカの経済は、将来ショックが起こっても対処できるような状態にある」と述べた。サマーズは、新興市場諸国とインドネシアとロシアの問題に話題を移し、「成功するか否かは、技術的な問題だけではなくて、政府の政策が安定しているかどうかと、結束が保てるかどうかもある程度重要である」と述べた。また、「国際協力は重要だが、国の機関が、信頼を得られるようなシステムを作るしか方法はない」と言った。
フランスの大蔵・経済・産業相であるドミニク・ストラスカーンは、次のように述べた。「1998年の課題は、市場の解放を維持することと、経済と財政の協力を促進することだったが、1999年の課題は、経済発展のエネルギーを維持することである」。そして、「もし国際間の協力ができれば、成長は可能となるだろう」と語った。そして、ユーロランドについては、「各国が協力し合わなければならない」場所であると述べた。
大蔵省財務官の榊原英資は、「日本の経済危機は、終わったか、終わろうとしているかどちらかである」と信じており、しかし「回復まではある程度かかる」と見ている。そして、「最近の危機は、新しい種類の危機であり、新しいタイプの解決策が必要である」と付け加えた。そして、「円が強すぎるのも弱すぎるのも望ましくない」ということであった。
【4】1999.1.29 マハティールは、通貨投機家の管理をしない政府は、政権から追放されるべきだと語った
http://live99.weforum.org/am9911_990129.asp
本日、ダボスの世界経済フォーラムにおいて、マレーシア首相マハティール・ビン・モハマドは、「通貨投機家に対する対策を取らない政府は、政権から追放されるべきだ」と発言した。マハティールは、「通貨投機家の対策を取らない政府は、辞職するか、政権から追放されるべきだ」と主張した。
マハティール首相は、通貨トレーダーによって、最近のマレーシア経済の危機が引き起こされたと言って、激しい批判を浴びせてきた。マハティールは、通貨トレーダーを武器商人になぞらえ、通貨トレーダーのやっていることは、ロケットや爆弾のように殺人的であると言った。そして、国際社会が通貨トレーダーを取り締まる方法を考え出すまで、昨年9月の財政危機の間に課した通貨管理を早期に取り除くことはやらないと言った。また、通貨トレーダーを、そのトレーダーが扱っている通貨の国に登録することを提案した。そして、トレーダーが“良い子”になるように、トレーダーの活動をガラス張りにし、借り入れを資本資産の2倍を限度にすることを提案した。
マハティール首相は、IMFの貸付に頼らずとも、マレーシアが危機から立ち直ることを確信していると言った。そして、“選択式通貨管理”とマハティールが呼ぶものをマレーシアが課していることについては、断固守り通すことを主張した。「そのような管理をしていなかったら、マレーシアは破産していただろう」ということであった。マハティールの言うには、ここ4ヶ月のうちに、外貨準備高は35%増えて270億ドルになり、株価は上がり、インフレの増加率はわずか1.5%にとどまったということである。マハティールは、「あらゆる統計は、経済が回復していることを示している」と言った。
マハティール博士は、IMF、世界銀行、アメリカに対し、非常に批判的であった。そして、「アメリカは、危機の間に預金を搾取し、貸付の返済期間を短くした」と言った。また、欧米のメディアが、「マレーシアが課した通貨管理は、マハティールの一族も含め、マレーシアの支配階級が自分の利益を守るためにやっているのだ」という報道の仕方をしたことについて非難をした。そして、もしマレーシアのとった措置によって、国民が被害を受けているというのなら、マレーシアに来て、一般の国民に尋ねてみればよいと言って、マスコミに対して挑戦状を突きつけたのであった。
マハティールに対して、「元副首相アンワル・イブラーヒムの裁判が進行中であるが、それによってマレーシア国内の投資に影響が出る恐れはないのか」という質問が出された。マハティールは、「法律はマレーシアの国民すべてに適用される」と答えた。そして、たとえ裁判によって、短期的に国の経済がダメージを受けたとしても、裁判は続行する旨を明らかにした。
【5】1999.1.30 中国の1999年の見通し
http://live99.weforum.org/am9915_990131.asp
本日、世界経済フォーラムの年次総会において、国務院の開発研究センター経済学教授ウー・ジンリャンは、世界で最も人口の多い国である中国が、成長を再び回復させるにはどうすればよいかという対策について発表した。
ウーは、「1999年の見通しは、世界の成長にかかっている」と述べ、「輸出を取り巻く状況が、将来良くなるとは今のところ思えない」と語った。国営企業の利益は少ないだろうし、財政システムは弱く見える。改革の進み具合も、これらに影響を与えるほどではない」。
ウーは、見通しを良いものにするためには、以下の対策が必要であるとして提案した。
・経済刺激策は取り続けるべきである。
・財政政策をもっと活発なものにしなければならない。
・民間部門への差別をやめるべきである。
・中国は、消費市場の“スイッチ”を“オン”にする必要がある。
・中国は、中小企業を援助すべきである。
・公共事業を通しての援助
・財政上の環境を改善することによる援助
・財政システムを、次のことによって強化すべきである。
・金融機関の強化
・利息の支払い不履行の資産の整理と、金融上のリスクの防止
・支払い不能となった企業と金融機関は整理するか再組織するべきである。
ウーは、「政府はこの対策をすでに実行し始めている。政府は2700億元の国債を発行して、国営商業銀行4行の資本構成を改めた」と述べた。「他の対策も実行に移され、世界の状況が明るくなってきたら、中国は成長の新時代が始まるだろう」。
ウーは、「1998年は、1997年後半のアジア危機から始まった景気後退の割には、まずまずの成長を達成し、通貨が安定していた年と言うことができる」と述べた。中国は、1992年から1994年にかけて、ハイパーインフレを抑制するための対策をとったが、その“慣性の法則”によって、今度はデフレとなった。その対策とは、金融引き締め政策と、国営企業の構造改革であった。この結果、多くの労働者が職を失った。さらに、住宅と医療政策の改革によって、貯蓄傾向がさらに減った。アジアの他の諸国の輸出の減少も、デフレに拍車をかけている。
政府はデフレに対応して、財政拡張政策に乗り出した。政府は1000億元の国債を発行し、それをインフラストラクチャーの建設に当てた。官庁は、中小企業を積極的に援助し、銀行預金と貸し付けの金利を下げた。この対策によって、1998年の第三四半期に効果が現れた。固定型投資の増加と、工業における付加価値が増加する結果となったのである。
【6】1999.1.31 ロシアの指導者たちは、債務返済延期が未来への鍵だと言う
http://live99.weforum.org/am9916_990131.asp
本日ダボスにおいて、ロシアの指導者数名は、「ロシアは今、もっと経済基盤の安定した効率のよい経済構造を作るのによい機会である」と語った。しかし、「対外債務の返済を引き延ばすことが、経済を回復させるのに必要不可欠である」と付け加えた。この発言がなされたのは、ダボスで行われている世界経済フォーラムの、ロシアの未来に関する特別セッションにおいてであった。
ロシア中央銀行総裁ビクトール・ゲラシチェンコは、「ロシアの財政状態が悪いので、中央銀行は、早急に経済の安定を回復させなければならないという強いプレッシャーをかけられている」と言った。さらに、政府の主な目標は、貸し出し限度額を維持し、蔵相に税金の徴収状況を改善させることである。さらに政府は、資源の採掘場所を拡大する政策の一環として、天然ガス独占会社のガスプロムをはじめとする国営企業を売却する話を急いでいる。
ゲラシチェンコは、対外債務返済引き延ばしの難問に関して述べた際に、「政府は“新ロシア債務”と呼ばれる債務に関して、23億USドルを支払った」と発表した。政府は、債務を返済するために過激な努力をしているが、それはロシアの銀行全体に良くない影響を与えている。銀行の流動性が枯渇し、中央銀行は商業銀行に大量の貸付をすることによって、流動性を与えなければならない状況が続いてきた。ゲラシチェンコは、「我々は、困難な状況に置かれている銀行を確実にサポートしようとしてきた。ロシアにおいて、有意義な改革を進めるに当たっては、銀行組織抜きで考えることはできない」と述べた。
国家準備銀行頭取のアレクサンドル・E・レベジェフは、「ロシア政府は、やっとのことで予算案を提出した。これは、何もないよりはましである」と言った。彼はIMFに対して、「特に政府が支出を切りつめるように見張っているべきだ」と警告した。そして、「ロシアの左翼勢力が、国家助成金と銀行に関して、政府に自分たちの意見を押し付けようとするだろう」と述べた。また、「銀行の構造改革を担当する新しい部署が、銀行部門の財政の苦悩にうまく対処するだろう」と述べ、楽観的な態度を見せた。「賢明な統制と監督を導入する余地はもっと豊富にある。私は、ロシアが対外債務の再構成について、首尾一貫した戦略を見せることを希望する。ロシアが対外債務を返済するためには、統一された監視システムが必要である」。
ロシア国家会議第一副議長ウラジミール・ルシコフは、次のように言った。「ロシアは、不完全な国家の持つあらゆる問題を有している。諸機関はばらばらで、指導者層の分裂は深い。議会は無責任で、国は真面目な改革を行う能力がない。そして、ロシアには、事実上の専制主義者であるスーパー大統領がいる。このようなマイナス要因によって、まともな経済政策を実行することのできないような、他に類を見ない弱体のシステムが出来上がっているのである」。さらに、「政府が議会の役割の邪魔をしている例はいくらでも挙げられる」と述べて、「両者の意見の違いを一致させるのは不可能である」と語った。
国家会議の議員で、ヤブロコの代表であるグリゴリー・A・ヤブリンスキーは、「昨年、金融市場が崩壊した結果、ロシアは今、新しい政治システムを作り出すまたとないチャンスである」と述べた。1999年と2000年の選挙は、独立国家としてのロシアが、将来的にどこへ向かっていくのかを明らかに示すであろう。ソ連時代の方針を、これを最後に引っ繰り返したいと思っている新しい政治家の世代が存在する。彼らは、共産主義が崩壊した後でさえも続いている方針を、逆転させたいと思っているのである。
【7】1999.1.31 ムバラク大統領「我々はテクノロジーとノウハウを必要としている」
http://live99.weforum.org/am9918_990131.asp
――本日、エジプトのホスニ・ムバラク大統領は、新しいグローバル財政システムの構造の中で、新興市場諸国が発言する機会のある“真の対話”を求める発言をした。
“発展途上国は、グローバル財政共同体にどのように参加すればよいかという優れた見本”の国の元首であるムバラク大統領は、世界経済フォーラム年次総会の演説の中でこのように述べた。「新しい財政構築についての討論が進行しているが、そこで欠けている主なものは、“新興市場諸国が生の声を聞かせることのできる対話”である」。
ムバラクは、「新しい財政構築に関して発言された多くのことは、世界の半数の人たちにとっては、本質的にあまり関係のないことである」と指摘した。「それは世界の生産高の3分の2については取り上げていると思うが、世界の人口の3分の2については無視している。貧困、文盲、病気、そして金持ちと貧しい人の格差が依然として広がりつつあることが、本格的な構造的不安定の原因である」。
そしてムバラクは、「発展途上国を悩ませている病気は、マクロディシプリン、正確なリスク評価、為替の安定によっては解決されない」と述べた。「発展途上国が先進国に対してもっと切実に求めているのは、テクノロジーと専門知識の提供であり、人材の育成の援助である」。
新たな財政構築についての問題は、昨年、アジアの財政危機が世界の他の地域に波及し、1930年代以来最大の世界的危機を引き起こしそうになってから、G7諸国の間では、ずっと議題の中心となってきた。国際間の資本の流れが不安定化するという波及効果を抑えるために、解決策を探す試みが今も続けられている。
大統領は演説の中で、「今日の不安定な世界では、もはや通常のまともなマクロ経済的政策によっては、新興市場国の経済を投機の攻撃から守ることができなくなっている」と嘆いた。そして、“産業活動への不適切な政策”が発展途上諸国に被害を与えたことに対し、激しい非難を浴びせた。
そして、「グローバル財政システムの改革には、資本市場の管理、特にヘッジファンドの活動についての管理を内容に含めるべきである」と指摘した。「また、それぞれの国が国民の幸福を守ることができるように、多様性を認めるものでなければならない」と述べた。
また、「エジプトは、世界的な財政の嵐を乗り切ってきた。それは、エジプトの経済が、オープンで市場に基づいた、民間部門の力によって動くものになるように徐々に変えていったからである。しかし、紛争地域の中心に位置しているので、平和と安全を絶え間なく追い求めなければならないし、アラブとイスラエルの紛争が全面的な解決に至るまで、両者を助けなければならない」と述べた。
【8】1999.1.31 コフィ・アナン、グローバル市場に人間の顔を与える協定を結ぶことを呼びかける
国連事務総長コフィ・アナンは、世界の有力な財界人に対し、“グローバル市場に人間の顔を与える”価値と原則を共有する協定を結ぶことを呼びかけた。
「責任あるグローバル化――グローバリゼーションの衝撃の管理」をテーマとした世界経済フォーラムの年次総会において、アナン事務総長は、「グローバリゼーションは厳然たる事実だが、そのもろさについては過小評価されてきたと思っている」と述べた。
アナンは、「市場の拡大は、社会の力量や、それぞれの社会の政治システムが市場に順応する能力をはるかに越えている」と言った。そして、世界の繁栄のためには、今日のグローバル経済に対して、第二次世界大戦後に先進諸国が作ったような基礎を築くことを提案した。アナンは事業家たちに、“人権、労働基準、環境整備の分野の中核となるような価値を受け入れ、支持し、規定する”ように要求した。「このような分野は、すでに世界人権宣言などの国際協定で定められている。しかし、それを補強するような行動を取らなかったら、オープンなグローバル経済への脅威が生じるかもしれず、特に多国間貿易体制に対する脅威が生じる恐れがある」。
「様々な利益集団が、貿易体制と投資協定に制限を加えようとしており、大きな圧力をかけている。我々は、他の手段によって、我々が公布する基準が達成できるような道を見つけなければならない」。
アナンは、協定を実施する方法を二つ提案した。一つは、国連のような国際機関を通して実施することで、もう一つは、個人的に企業のレベルで行動を取ることである。そして、アナンは事業家と投資家に対し、「あなた方の力で、偉大な機会と偉大な責任をもたらしてください」と言った。また、彼ら一人一人に向かって、人権と、人間らしい労働と、環境上の基準が企業の中で守られるように要請した。
「その代わり、国連の機関があなた方を援助します」とアナンは言った。そして新しく作ったウェブサイトのアドレス http://www.un.org/partners を紹介し、「これは国連に関心のある企業のための“ワンストップ・ショッピング(一ヶ所で何でも揃う買い物)式”サイトです」と述べた。
最後にアナン事務総長は、「私があなた方に提案しているのは、本物の協定だと信じています。どちらの側も、もう一方の側なくしては成功が望めないからです」と言い、次のように付け加えた。「国内市場は、最小限の基準によって、価値と信頼を共有すれば、まとまりが保てます。しかし、新たなグローバル市場では、人々はまだ信頼を持てていません。信頼が持てるようになるまで、グローバル経済は、保護貿易主義、国家主義、民族的排他主義、狂信、テロリズムなどに対しては、もろくて隙の多いままでしょう」。
【9】1999.2.1 ダボス会議の演説者、世界のリーダーに対し、Y2K問題を世界の最優先事項にするように要請
http://live99.weforum.org/am9921_990201.asp
本日、トップレベルの経営者と専門家5名は、コンピューター2000年問題に関して、世界の政財界の指導者が“もっと大きな役割を果たす”ように要請した。
スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会において、世界銀行の情報開発局長カルロス・A・ブラーガ、『エコノミスト』誌マネジメント・エディターのフランシス・ケアンクロス、スウェーデンのポステン社最高経営責任者ウルフ・ダールステン、世界経済フォーラム・オンライン戦略局長ブルーノ・ジュッサーニ、ドイツ銀行セキュリティーズの主任エコノミスト兼専務理事エドワード・ヤルデニは、参加者に向かって、新しいミレニアムが始まるまでの残りわずかな数ヶ月の間に、世界の指導者たちは、この問題を世界の最優先事項にすべきであると強調した。
Y2Kと呼ばれるこの2000年問題とは、簡単に言うと、1999年から2000年に移り変わる時に、多くのコンピューターとマイクロプロセッサーが、データの読み間違いを起こすというものである。これはプログラム上の不備によって起こる現象である。これによって、日付に敏感なアプリケーションやコンピューターシステムに、予測不能の様々な誤作動や故障が生じるのである。例えば、銀行や財政部門、パワーグリッド、役所の記録などに影響が出ることになる。また、セキュリティー関係や、生産工程の自動制御などの埋め込み式のシステムにも影響が出る可能性がある。
アメリカ大統領の補佐官で、2000年問題諮問委員会委員長のジョン・A・コスキネンなどの世界のY2K対策の最高権威と協力して、この問題に取り組んできた専門家のチームは、「Y2K問題について意識を高めるような運動を多くの国で起こす必要がある。国は、民間部門の進み具合をチェックし、公共部門のコンピューターの修正に取り組まなくてはならない」と強調した。しかし、Y2Kに関してトップクラスの専門家と見なされているヤルデニは、「多くの人はこの問題にほとんど関心を持っていない」と発言した。
チームのメンバーは、政財界の指導者に対し、新しく設立されたY2K国際協力センターの上層部と活動を援助するように要請した。このセンターは、国連の後援によって作られたもので、世界銀行の援助を受けている。
さらに、メンバーは、参加者に以下の項目を実施するように要請し、政府や企業に対して援助を求めた。
・世界的に協力体制をとって修正計画を進める。地域規模や世界規模で、誤作動を起こす可能性のあるシステムと、誤作動の可能性を除去するのに有効な手段となり得るシステムをチェックする。最優先事項としては、誤作動を起こした場合に生命の危険があるようなシステムの誤作動を防ぐことである。
・エネルギー、遠距離通信、航空輸送、海運、兵站学、財政部門、銀行のような重要な分野における相互依存的システムに対処するために、国境を越えた構想を作り上げる。
・防衛、食糧生産、製造業など、軽視されているが特に重要な分野において、協力して対策に当たる。
【10】1999.2.1 キッシンジャー、国債財政システムの改革を呼びかける
http://live99.weforum.org/am9923_990201.asp
世界経済フォーラム年次総会において、アメリカの元国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、「国際財政システムの抜本的な改革がなされなければ、グローバリゼーションに対する政治的な障害が増大する」と警告を発した。また、「この課題は、政治家がやらなければならない原則的な仕事だ」と述べた。
キッシンジャー・アソシエーツの会長であるキッシンジャーは、「今日の世界おいては、経済と政治の構造が矛盾しており、改革がなされなければ、経済危機は不可避的である」と述べた。また、犠牲を要求するIMFの経済救済策を批判し、「長期間の緊縮財政を強いるのは、政治的に耐え難い。これはどこの国でもうまくいっていないし、インドネシアでは、政治的カタストロフィーを生む結果となった」と述べた。
キッシンジャーは、年次総会に集まった財界、政界、学界の有力者に対し、「アメリカは、世界のグローバリゼーションの進行に対して責任が高まっており、アメリカはこの責任に対処できるようにならなければならない。しかし、政治家とマスコミが国内政策にかかり切りになっているために、現在のところはできていない」と述べた。さらに、「アメリカの政治システムは、我々がどこへ行こうとしているのかを考えるよりも、全国のイブニング・ニュースをどうやってうまくやりすごすかを考える策略家を生み出している」と語った。
また、キッシンジャーは、「アメリカは、ヨーロッパが強くなることに関心を持っている」と強調し、EUとNAFTAが最終的に協力関係を結び、自由貿易エリアを形成することを呼びかけた共和党議員ジム・リーチを支持した。そして、「アメリカは、他の諸国がますます強くなっているのを見るのはうれしくないものである」と付け加え、「アメリカ人は、世界における決定の全部を行わない方が、心理的には恩恵があると思われる」と述べた。
また、クリントンの弾劾が進行していることについてコメントを求められた際に、「超大国としてのアメリカの地位に長期的な影響が出ることはない」と答えた。しかし、弾劾は“常軌を逸している”と付け加えた。
【11】1999.2.2 世界の財界、政府、マスコミは、社会問題と共同責任に注目
http://live99.weforum.org/am9927_990202.asp
「責任あるグローバル化――グローバリゼーションの衝撃の管理」をテーマに開かれた第29回世界経済フォーラム年次総会は、6日間にわたって、世界の政財界、マスコミの有力者の間で討論が交わされてきたが、今晩をもって閉会する。参加者は、21世紀に世界の紛争地帯をどう解決するかについて意見を交換し、また、社会的な共同責任についての検討や、経済活動と人権とのリンク、人間のクローン化の可能性についての討論会の開催、民間部門と生命の起源の探究を通じての環境保護の推進等について意見が交わされた。
基調演説を行ったのは、アメリカ副大統領アル・ゴア、国連事務総長コフィ・アナン、エジプト大統領ムハマド・ホスニ・ムバラク、ドイツ首相ゲアハルト・シュレーダー、ドイツ大統領ローマン・ヘルツォークである。特に胸が傷んだのは、南アフリカ大統領ネルソン・マンデラが行った辞任演説である。マンデラは、南アフリカの“未完の仕事”について演説した。昨年の年次総会では、新生した南アフリカが和解の政策について表明する場が提供されたのであった。
その他にも、エコノミスト、科学者、芸術家などの専門家たちが各セッションで演説し、国際的な大企業の経営陣の多数のトップを含む参加者たちは、インフォーマルな形で、開発を促進するような、社会的で創造的な問題についての幅広い分野の討論をすることができたのである。今会議のハイライトは、以下の通りであった。
・ゴア副大統領が、貧困で、多額の債務を抱えた国に対して債務免除をする提案をした。
・マンデラ大統領が、「グローバリゼーションが、金と権力のある人たちに恩恵を与えるだけのものであれば、うまくいかないだろう」と警告した。「グローバリゼーションは、貧困に苦しむ男性、女性、子供たちをも助けるものでなければならない」と述べた。
・アナン事務総長が、世界の事業家に“グローバル市場に人間の顔を与える”価値と原則を共有する契約を結ぶことを求めた。
・ムバラク大統領が、先進工業国は発展途上国に対し、もっとテクノロジーとノウハウを提供してほしいと呼びかけた。
・シュレーダー首相が、平均的な収入の家庭の税金を引き下げることによって、ドイツの経済問題を緩和するプランを発表した。また、チェコ、ハンガリー、ポーランドがEUに加盟することを支持した。
・ヘルツォーク大統領が、国民国家だけでなく、グリーンピースなどの非政府組織や企業を含めて、世界のより良い関係を築くための8ヶ条のプランを提案した。大統領は、民主主義を促進し、人権の尊重をもっと高める必要性を強調し、それは21世紀に支配的になると思われる課題に取り組むに当たっての必要条件であると主張した。
・火曜日に、パレスチナ自治政府議長ヤセル・アラファトが、参加者全員に対して、ベツレヘムを和解の象徴にすることについて演説する予定になっている。
世界経済フォーラム・イニシアチブのメンバーである“明日の世界のリーダー”と呼ばれる50人のヨーロッパの若手リーダーが、自分たちが関心を向けている社会問題に人々の注目を集めようという目的で、“準備の度合いリスト”というものを公表した。そのリストには、EUの15ヶ国を含めて、アメリカ、カナダ、日本が挙げられており、来る半世紀に向けて、そのような問題に対処する準備がどの程度できているかのランクづけを示したものであった。トップがデンマークで、最後はイタリア、そして英語圏の国は中程に挙げられていた。全員が45歳以下であるその若手リーダーたちは、欧州委員会が、欧州通貨同盟への加盟の基準であるマーストリヒト基準の補遺として、この“準備の度合いリスト”を採用することを提案した。また、GLTグループの若手事業家数名は、ボスニア・ヘルツェゴビナ、中東、北アイルランド、南アフリカの平和を維持するために助力することを誓い、最終日の特別セッションに出る予定になっている。
これよりも前の会議において、国連人権高等弁務官メアリー・ロビンソンは、企業の方針の一部として、“人権文化”を育て、事業家がこれを重要と考え、競争力を高めるのになくてはならない要素だと思うように促す必要があることを強調した。アメリカのタイムワーナーの副会長テッド・ターナーは、民間部門が、もっと人道主義的で、開発を促進するようなことに資金を提供するように強く勧めた。世界保健機関事務局長グロ・ハルレム・ブルントラントは、貧困や病気と戦うためには、民間企業ともっと積極的なパートナーシップを結ぶ必要性があることを強調した。大手製薬会社3社は、世界保健機関と協力して、年間350万人の死亡原因となっている、たばこによる病気に対処することに同意した。
また参加者は、新たな技術の未来を探り、21世紀の事業と社会にどう影響が出るかについて検討した。マイクロソフト社の会長兼最高経営責任者ウィリアム・H・ゲイツ3世は、「インターネットの普及によって、企業は、海外の大きな事業所などの巨大な建築物を作る必要がなくなるので、オーバーヘッド・コスト(間接費)を減らすことが可能になる」と述べた。
さらに第一線の研究者が、科学と医学の分野における飛躍的な進歩について簡単に説明した。ロスリン研究所開発・複製主任イアン・ウイルマットは、クローン技術が未来に与える影響について述べた。彼は、「遺伝子のコピーによって、絶滅の危機にさらされた種を繁殖させたり、癌の治療法を発達させたりすることができるようになるだろう」と述べた。保健の専門家は、他の治療法や医学の可能性について発表した。アメリカのRJバックル・アソシエーツ社重役のジェイン・バックルは、化学薬品のアロマテラピー(芳香療法)について論じ、「最も古い療法が、最も新しい療法となるのではないか」という見解を述べた。同じく、オランダ鍼治療センター局長ソレン・バラガードは、伝統的な中国医学と西洋の健康管理を統合することによって、大きなが利益があると強調した。
そして、政府関係者と財界人は、2000年以降の世界経済について分析した。ドイツの大蔵次官ハイナー・フラスベックは、「アメリカとのギャップを埋めるためには、ヨーロッパの成長率をもっと高めることが必要だ」と述べた。一方、イギリスの蔵相ゴードン・ブラウンは、「成長が維持できて、健全な就業率を保てるのであれば、経済改革を優先すべきである」と述べた。アメリカの財務副長官ローレンス・H・サマーズは、「先進工業諸国の成長のバランスも大切だが、発展途上国に対する資本の流れを回復させることも大切である」と述べた。
他のセッションでは、ユーロの時代になってヨーロッパが直面している新たな課題についての検討がなされた。また、グローバル市場の規制についての提案も行われた。欧州委員会委員長ジャック・サンテールは、拡大されたヨーロッパが、世界の安全保障についてもっと積極的に関わるべきだと主張した。そしてそのためには、例えば新しいヨーロッパ防衛軍が必要であると述べた。ドイツのフリート・クルップ・ホエッシュ・クルップ社最高経営責任者ゲアハルト・クロンメは、「新しい統一通貨によって、競争が高まり、投資家と消費者双方にとって利益をもたらすだろう」と言った。
世界経済フォーラム年次総会は、アフガニスタン、カナダ、インドネシア、イラン、マレーシアなどの政治と経済の状況を考える機会を提供した。インドネシア経済・財政・産業開発調整相ギナンジャールは、「問題は少なくないが、経済が生き残り、競争力をつけるためには、インドネシアは民主的な路線に戻る」と固く主張した。イランの外相カマル・ハラジは、「1997年にハタミ大統領が選出されて以来、イランは、世界との外交において責任あるパートナーであるために、国内政策と対外政策には相当の努力をしてきた」と語った。
ダボス関連:
・1999年度ダボス会議三人の主役
・ダボスに運ばれたナチスの略奪品
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